さくらまち 184号(2017年7月30日)より


◆ 四旬節特別講話

◇ みことばに従って ◇

 

コンベンツアル聖フランシスコ会

山口雅稔神父

四旬節とは

 

本日は「みことば」を中心に話をしたいと思います。四旬節に皆さんを導くのが神のことばです。四旬節の40というのは、イエスの荒れ野での40日にもとづいていますが、イスラエル民族がエジプトを脱出し約束の地までの40年間でもあります。その間、彼らを養ったのはマンナと神のことばです。わたしたちにはそれがご聖体であり、福音のことばなのです。四旬節の期間は、みことばがわたしたちを鍛え、導き、養ってくれます。

 

先週わたしはある黙想会に招かれました。黙想会は日曜で、前日の土曜は聖堂でピアノの発表会が行われることになっており、朝から調律師が一生懸命調律をしていました。わたしの修道院にもピアノがあり、先日10年ぶりに調律をしましたが、調律師に毎年やらないとはげしく音がズレると言われました。わたしたちも同じです。

 

調律してピアノを良い状態にしてから演奏するように、わたしたちも1年に1度ズレをなおす必要があります。このズレをなおす期間が四旬節です。神の恵みの時、回心の瞬間はいつでもあるのですが、教会は四旬節という回心しやすい時を与えてくれています。また節制を促してもいますので、皆さんもこれを機に心がけてみるのがよいかと思います。何かを控えて不足感を感じる、この不足感が神への飢え、渇きに変わる、これが本来の四旬節です。神の愛、神の偉大さをもっと深く知るために、復活祭が大きな喜びとなるように、そのような四旬節の過ごし方をしてみましょう。

 

ヨセフにならう

 

ところで3月20日は聖ヨセフの祝日です。この期間にヨセフの祈りをしたり、ヨセフの福音を味わうことは、わたしたちを霊的に豊かにしてくれます。

 

ヨセフはみことばに従って生きた方です。ヨセフは自分の力に頼るのではなく、夢の中で受けた天使のお告げ、みことばに従いました。わたしたちも自分のせまい考えやこだわりを捨て、ヨセフにならい、みことば中心の生き方をしましょう。その判断規準は「自分を愛するように他人を愛する」というイエスの残して下さった「愛」です。

 

父への信頼

 

「聖なる父よ、あなたは「愛する子に聞け」とお命じになりました。みことばによってわたしたちを養ってください」。(3/12、集会祈願)

 

「聖なる父よ」と父に対する呼びかけで始まっていますが、これは信頼に満ちたことばであり、信頼をもって祈るということです。

 

何もできない赤ちゃんが、どのようにして母親を愛するかというと、信頼ということで愛を表しています。わたしたちもこのように神を愛すればよいのです。幼子のように神に信頼を寄せるのが愛です。「あなたは「愛する子に聞け」とお命じになりました」。これは当然父の声です。「あなたは愛する子です」というのはわたしたちに対する天の父の大きなメッセージです。神がもうわたしを愛してくれないという思いをもつと不安や恐れが生じ、他者ともうまく交流できなくなります。マザー・テレサは「未来は神さまの御手にあります。そして今はイエスさまの愛の内にあります」といっています。イエスの愛がわたしたちの土台です。愛の土台があれば交流しやすく、信頼関係を結ぶことができます。まずは家庭から、教会から実行していきましょう。

 

「みことはによってわたしたちを養ってください」。みことばがわたしたちを導いてくれます。みことば中心の生活をされたマリアに取り次ぎを願い、良い復活祭を迎える準備ができるように祈りましょう。

 

 

小金井教会、2017年3月12日