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神様の無限の素晴らしさと美しき御業を垣間見る(三)

G.T.

 

 今週の月曜日(2月8日)から来週の火曜日(2月16日)—灰の水曜日の前日まで、教会の毎日のミサ(第6主日を含む)の第1朗読で、創世記の最初の数章が読まれます。創世記は、神様が天地を創造され、神様と人類との関係の始まりの物語を語っています。この関係は、神様が世界を形造られたときに始まりました。 神様が創造され、ご自分の創造を御覧になり、全ては極めて良しとされました(創世記1章31節)。

 

 ちょうど1年前、この「わかちあい」のコラムで2回にわたって、私たち人間の想像力や理解力をはるかに超えた、神様の壮大で美しい御業を少し垣間見ることを共有しました(「神様の無限の素晴らしさと美しき御業を垣間見る(一)(二)」)。ちょっとした「天ノ篇」と「地ノ篇」のような形式だったと思います。今回は「人ノ篇」として、私たち人間を創造された神様の驚異的な御業をもう少し垣間見ながら、このテーマを完結したいと思います。


 3,000年前、ダビデは次のように唱えました。
 「人とは何者なのか、あなたが心に留めるとは。
 人の子とは何者なのか、あなたが顧みるとは。
 あなたは人間を、神に僅かに劣る者とされ
 栄光と誉れの冠を授け(た)」(詩編8編5節~6節)。

 

 今日、神様は現代科学での研究と発見を通じて、徐々にほんの少しずつ、人間の驚くほど不思議な素晴らしさをお示しくださっています。

 

 人間の体は約37兆個の細胞でできていると言われています。それは78億人ある世界人口(2020年)の約5倍に相当する数です。また、その1個の細胞は約100兆個の原子の結合によって形成されています。

 

 私たちの脳に存在する約1000億個の神経細胞(ニューロン)を一直線に繋げた場合、100万キロメートルにもなると言われています。これは1周約4万キロメートルの地球を25周もできる距離です。これらの神経細胞は、私たちの一般的な日常生活の外界環境から、毎秒100 億ビットにも達すると言われている感覚情報を処理しています。これは約180枚の1600万画素数の高画質デジタル写真相当の情報量です。

 

 私たちの網膜には、片目だけで、600万個の錐体細胞(明るい場所で色を識別する)と1億2千万個の桿体細胞(暗闇で僅かな光でも感知できる)が存在し、それらは120万本の神経線維を通して脳に情報を送ることによって、私たちが15センチ先の文庫本の細字や、38万キロ離れた月のクレーターの形を見ることができます。また、およそ800万もの色の違いの識別ができると言われています。

 

 私たちの耳には、片耳だけで、大気圧の10億分の1の変化に敏感な有毛細胞が2万個あり、1,500の異なる音の高さ(ピッチ)を、3万分の1秒の極小タイミングに敏感な電気信号(インパルス)に変えて脳に伝達することができます。また、30万以上の音色の区別ができるようにさせてくれています。

 

 毎日、私たちの心臓が約10万回の拍動で、約7000リットルの血液を、全て繋ぎ合わせると地球2周半できる10万キロメートルの長さとなる血管を通して、全身に送り込んでいます。また、全体の血管の95%となる毛細血管に取り囲まれる6億個にも及ぶ肺胞は、毎日約3万回で1.5万リットルの空気を呼吸しています。


 これらの全ては想像し難いほど細かく調整されているため、私たちが全く意識することなく、両足の56本の骨を動かす200個の筋肉が調和的に活性化させられ、一歩を踏み出すことができるのです。

 

 人間の体のこれらの不思議は、ほんの氷山の一角に過ぎません。いや、氷山の一角さえならず、ほんの極小な一点に過ぎないのです。

 

 つい3ヵ月前に、次のような最新科学的な研究による発見が公開されました―「宇宙学と神経外科学の観点から定量分析が行われ、一連の研究結果が踏まえられた上、大規模構造の宇宙網と人間の脳の神経回路網の構造の類似性が認められました」。(1)

 

 確かに、神様がご自身の驚くべき不思議な美しい御業を、新たに垣間見させてくださっておられます。とても奥の深い意味が潜んでいるものを拝見させていただいているのではと思います。


 「まことにあなたは私のはらわたを造り

  母の胎内で私を編み上げた。
  あなたに感謝します。

  私は畏れ多いほどに

  驚くべきものに造り上げられた。

  あなたの業は不思議。

  私の魂はそれをよく知っている。」(詩編139編13節~14節)。

 

 「主の御業はその栄光に満ちている。
  主の御業はすべてなんと心惹かれるもの

  なんと輝かしく見えるものだろうか。
  誰か、主の栄光を見飽きる者がいるだろうか」(シラ書42章16節、22節、25節)。

 

 間もなく、四旬節が始まりますが、コロナ禍に与えられている影響と関係なく、神様は私たちの想像と理解をはるかに超えるほど、私たちと共におられます。私たちが心を開き、心の底から神様により近づき、主の憐れみを求め、主の愛と慈しみをより一層深く感じることができますように。

 

[参考]

(1)「やはり、脳と宇宙の構造は似ている.....最新研究」(ニュースウェーク日本版 2020年11月20日)

 

 

(一)(二)|(三)